ネット依存症「巣ごもりで悪化」

新型コロナウイルス感染拡大に伴い外出自粛や一斉休校の影響で、ゲームやネットなどの依存症の患者は増えているのか?医療関係者に現状や治療の今を聞いてみた。

「ネット依存症は急増はしていないが、全体的に症状が悪化している。巣ごもりで昼夜逆転などの症状がひどくなった人が多く、治療も大変です」との回答が出た。

日本中から患者が集まる国立病院機構・久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の樋口進院長はそう話している。昨年2月と5~6月の一斉休校前後で患者約80人に調査した結果、ネットやオンラインゲーム、スマートフォンの平均利用時間は各2~3時間程増加した。

コロナ禍の受診控えでアルコールなどの他の依存症は軒並み減少しているが、ネット依存症だけは増加している。「緊急事態宣言の解除後にはもっと増加するかもしれない」と警戒している。

同センターは2011年、国内で初めてネット依存外来を開いた。新規患者は年間で約250人、再診を含む診察数は年間2500件にものぼる。患者の約7割が中高生を中心とした未成年で、大半がゲーム依存症(ゲーム障害)の男子、女子は比較的少ないが、SNSや動画への依存が目立つという。

低年齢化も進み、最年少は小学1年生の男児だ、樋口院長は「依存症の回復には問題を自覚し、自らが改善しようとするプロセスが不可欠、幼いうちは問題意識や我慢する力が弱く治療が難しい」と指摘している。

新型コロナの余波で困った事も起きている、「ある高校生はネットを使わない約束が守れていたのに学校の授業がオンラインになったことでゲーム依存症が再発した」治療のためスポーツなどリアルの活動に幅を広げていくことも難しくなっている。